日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会 
一般財団法人日本救急医療財団

新ガイドライン【BLS】の主な変更点について

ここに列挙した内容は、主に市民による一次救命処置法(心肺蘇生法(CPR)、AED使用法、気道異物除去 法など)と、日常的に蘇生を行う者やALSを習得した者が成人と小児(乳児を含む)に行う一次救命処置法の 主な変更点についての要約です。日本版救急蘇生ガイドライン(骨子)の文章そのままではありませんので注意してください。

全体を通しての基本的考え方
  • 効果的な救急蘇生を行うには、できるだけ早期から十分な強さと十分な回数の胸骨圧迫が絶え間なく行われることが重要であり、強調した。
  • 胸骨圧迫の効果を上げるために、心肺蘇生法開始の判断と手順、人工呼吸の吹き込み時間、胸骨圧迫と人工呼吸の比率、AEDによる連続ショック回数、ショック後の対応などを変更した。
  • 一次救命処置は大きな枠組みとして、主に市民が行う一次救命処置(心肺蘇生法、AED使用法など)と、日常的に蘇生を行う者やALSを習得した者が行う成人と小児(乳児を含む)の一次救命処置に区分された。
  • ガイドライン策定の科学的根拠や変更の理由等については「救急蘇生の指針」にも解説される。
主に市民による心肺蘇生法の主な変更点
  • 呼吸については「正常かどうか」あるいは「普段どおりの呼吸か」を10秒以内で確認する。
  • 反応がなく、正常な呼吸がなければ(特に喘ぎ呼吸のときは)CPRを開始する。
  • まず人工呼吸を2回行い、ついで胸骨圧迫心臓マッサージ(以下、胸骨圧迫)を開始する。
  • 人工呼吸は約1秒かけて、胸の上がりが見える程度の吹き込みを2回試みる。
  • 胸骨圧迫位置の目安は胸の真ん中または乳頭と乳頭を結ぶ(想像上の)線の胸骨上である。
  • 胸骨圧迫と人工呼吸の比率は全年齢共通で30:2とする。
  • 胸骨圧迫の回数は連続30回を目標とするが、必ずしも正確に30回である必要はない。
  • 救助者が疲れると圧迫が不十分になるので、胸骨圧迫の役割を時々交代することが望ましい。
  • 救助者が人工呼吸を実施できない局面においては、胸骨圧迫だけでも実施する。
  • CPRは何らかの応答や目的のある仕草が現れる、または救急隊などに引き継ぐまで継続する。
主に市民によるAED使用法の主な変更点
  • AED装着のタイミングは全年齢層において「AEDが到着し次第」とする。
  • 適応があればショックを1回行い、観察なしで直ちに胸骨圧迫を行う(ただし、薬事法上AEDによるショックを3回行う使用法により承認されている機種がある)。
  • ショック後はCPRを2分間(または5サイクル)実施後に、AEDにより再度心電図を解析する。
  • 初回エネルギー量は二相性AEDではメーカー推奨量、単相性AEDでは 200Jとする。
  • 1歳以上8歳未満の小児の場合は小児用パッドを用いる(ただし、2006年6月時点で薬事法上承認されているのは2種類である)。
  • 小児用パッドがない場合は成人用パッドで代用する(小児用のパッドが付属していない機種にあっては、薬事法上、小児への使用は認められていないので、やむを得ない場合のみ慎重に使用する)。
主に市民による気道異物除去法の主な変更点
  • 傷病者に反応がある場合は背部叩打法と腹部突き上げ法を併用する。
  • 背部叩打法と腹部突き上げ法の回数や順序は問わず異物が取れるか反応がなくなるまで続ける。
  • 乳児や妊婦では腹部突き上げ法は行わない。背部叩打法のみとする。
  • 成人傷病者で反応がなくなった場合には、119番通報後にCPRを開始する。
  • 小児傷病者で反応がなくなった場合には、CPRを5サイクル(2分間)行った後に119番通報する。
  • CPRで行う気道確保の際に、口の中に異物が見えれば取り除く。盲目的指拭法は行わない。
日常的に蘇生を行う者、ALSを習得した者による一次救命処置の主な変更点
  • 成人は思春期以降(年齢としては15歳超が目安)と定義する。
  • 発見時の対応手順の原則は、成人では緊急通報・AED要請後にCPR開始とする。小児ではCPR(5サイクル・2分間)後に緊急通報・AED要請とする。ただし、以下のように臨機応変に対応する。
  • 小児が突然卒倒した場合は救助者が一人なら緊急通報・AED要請後にCPRを開始する。
  • 成人で呼吸原性の心停止を疑う場合は救助者が一人ならCPR(5サイクル・2分)後に緊急通報する。
  • 反応がない場合には、呼吸の観察と脈拍確認のための頸動脈触知を可能な限り同時に行う。
  • 呼吸と脈拍の確認に10秒以上をかけてはならない。
  • 正常な呼吸がなく、脈拍が確実に触知できれば人工呼吸(およそ10回/分で)のみを実施する。
  • 正常な呼吸がなければ、脈拍が確実に触知できる場合を除いてCPRを開始する。
  • 脈拍の確認に自信を持てない救助者は呼吸観察に専念し、反応と呼吸がないことを根拠にCPRを開始する。
  • 10秒以内に脈拍があることを確信できない場合は心停止と判断して直ちにCPRを開始する。
  • 直ちに人工呼吸を開始できる準備が整っている場合には胸骨圧迫の前に2回の人工呼吸を行う。
  • この人工呼吸は胸が上がらなくても2回までとする。
  • 成人の胸骨圧迫と人工呼吸の比率は30:2とし、胸骨圧迫の回数は連続30回を目標とする。
  • 気管挿管がなされた場合は胸骨圧迫を中断せず、人工呼吸と胸骨圧迫を非同期で行う。
  • コンビチューブ、LMA、Laryngeal Tubeの場合は「適切な換気が可能なら」非同期で換気する。
  • 非同期の場合の呼吸回数は10回/分程度とし、呼吸回数が過剰になりがちである点に注意する。
  • 胸骨圧迫では胸骨の下半分(剣状突起は避ける)を圧迫する。
  • 胸骨圧迫位置の目安は胸の真ん中または乳頭と乳頭を結ぶ(想像上の)線の胸骨上である。
  • 胸骨圧迫の効果は圧迫の深さや速さで評価すべきであり、頸動脈の脈拍で評価すべきではない。
  • 交代要員がいれば、胸骨圧迫を5サイクル(2分)おきに5秒以内で交代することが望ましい。
  • CPRは充分な循環が戻るまで、または専門チームに引き継ぐまで継続する。
  • 適応があればショックを1回行い、その後は観察なしで直ちに胸骨圧迫を行う。(ただし、薬事法上AEDによるショックを3回行う使用法により承認されている機種がある)。
  • ショック後は2分間(または5サイクル)のCPR後に、AEDにより再度心電図を解析する。
  • 初回エネルギー量は二相性AEDではメーカー推奨量、単相性AEDでは 200Jとする。
  • 心電図モニターで発生を目撃した心室細動/無脈性VTで、直ちに除細動器が使用できない場合は、即座に1回だけ前胸部叩打を行なってもよい。
  • 救急隊は、救急通報から現場到着までに4〜5分以上を要した症例に対しては、短時間のCPRを行った後に除細動を行うプロトコール(CPR-first)を考慮する。
  • 除細動のために胸骨圧迫の中断は10秒を超えないよう配慮する。
  • 傷病者に意識がある場合の気道異物除去は背部叩打法と腹部突き上げ法を併用する。
  • 背部叩打法と腹部突き上げ法の回数や順序は問わず異物が取れるか反応がなくなるまで続ける。
  • 妊婦、極端な肥満者などに対しては腹部突き上げ法に代えて胸部突き上げ法を行う。
  • 気道異物で窒息を来たした傷病者が意識を失った場合は緊急通報の後、通常のCPRを行う。
  • 盲目的指拭法は行わず気道確保をするたびに口の中を覗き、異物が見えれば取り除く。
  • 可能なら喉頭展開下で異物を除去する。
日常的に蘇生を行う者、ALSを習得した者の一次救命処置の主な変更点(小児と乳児)
                                  (変更が成人と異なる点のみ)
  • 乳児は新生児以降、1歳までと定義し、小児は1歳から思春期(15歳程度)までと定義する。
  • 小児や乳児では、心停止に至る以前の呼吸不全/ショックの認識と迅速な対応が特に重要である。
  • 発見時の対応手順では原則として緊急通報よりもCPRを優先するが、発症の状況によって異なる。
  • 脈拍の確認は、乳児では上腕動脈で、小児では頸動脈か大腿動脈で行う。
  • 充分な酸素投与と人工呼吸にもかかわらず、心拍数が60/min以下で、かつ循環が悪い(皮膚蒼白、チアノーゼ等)場合は胸骨圧迫が必要である。
  • 呼吸はないが充分な早さの脈拍が確実に触知できれば12-20回/分で人工呼吸のみを開始する。
  • CPRは、人工呼吸から開始することが望ましく、直ちに開始できる準備を整えておくことが望まれる。
  • 呼気吹込み人工呼吸を行う場合、乳児では口対口鼻法を、小児では口対口法が適している。
  • 小児や乳児の胸骨圧迫と人工呼吸の比率は救助が二人の場合15:2とする。
  • 小児や乳児の胸骨圧迫と人工呼吸の比率は救助が一人の場合30:2とする。
  • 小児の胸骨圧迫は乳頭と乳頭を結ぶ(想像上の)線の胸骨上を片腕または両腕で圧迫する。
  • 乳児の胸骨圧迫は救助者が一人の場合は乳頭間線のすぐ下の胸骨を指2本で圧迫する。
  • 乳児の胸骨圧迫は救助者が二人の場合は胸郭包み込み両母指圧迫法を用いる。
  • 胸郭包み込み両母指圧迫法をおこなう際は、残り4本の指で胸郭を絞り込むような動作をくわえる。
  • 小児や乳児の胸骨圧迫は胸の厚みの1/3までしっかり圧迫する。
  • 胸骨圧迫の交代要員がいる場合は、胸骨圧迫の担当を10サイクル(約2分)おきに交代するのが望ましい。
  • 小児や乳児に多い呼吸原性心停止においては、迅速な換気と胸骨圧迫の双方が必須である。
  • 1歳以上8歳未満(体重として25kgを目安)の小児の除細動では小児用パッド(できればエネルギー減衰機能を有するもの)を用いることが望ましい。
  • 小児用のパッドがない場合は成人用を使用する(ただし、小児用のパッドが付属していない機種にあっては、薬事法上、小児への使用は認められていないので、やむを得ない場合のみ慎重に使用する)。
  • 小児では2分間のCPR後にAEDを装着する。(ただし、突然の卒倒が目撃された場合を除く。)
  • 意識がある小児の気道異物除去は背部叩打法と腹部突き上げ法を併用し、その回数や順序は問わない。
  • 意識がある乳児の気道異物除去は背部叩打法、胸部突き上げ法を5回ごとに交互に行う。
  • 小児や乳児の意識がなくなった場合は、通常のCPR手順に従って緊急通報とCPRを行う。
救急蘇生に関する救急医療体制についての主な変更点
  • 通信指令は通報者があえぎ呼吸を「呼吸あり」と誤認する可能性があることに充分注意する。
  • CPRができると答えたバイスタンダーに対しては通常のCPRを行うよう指導する。
  • CPRができないと答えたバイスタンダーに対しては胸骨圧迫のみを口頭で指導する。
  • 通信指令による口頭指導の手順は医学的見地に基づいて救急医療サービスの質を管理する体制下にマニュアル化されるべきである。
  • 通信指令はマニュアルに従った口頭指導の手順を定期的に訓練すべきである。
  • 口頭指導の指導内容およびその効果は医学的見地に基づいて救急医療サービスの質を管理する体制下で検証されるべきである。
  • 心肺停止に対する応答時間をできるだけ短縮するための努力と工夫を継続すべきである。
  • ウツタイン方式に関わる覚知やバイスタンダーCPRの定義は正しく統一されるべきである。
  • 救急活動に関わる時刻を正確に把握・記録する体制(時計の同調管理を含む)が必要である。
  • 心肺停止を目撃する可能性のある公共の場で、AEDを迅速に使用できる体制を整備することが望ましい。
  • PADプログラム(病院外心停止の発生状況把握、AEDの配備計画、救助者の育成、結果の検証)の確立が重要である。
  • PADプログラムは医学的見地に基づいて救急医療サービスの質を管理する体制下で実施されるべきである。
  • AED使用において、いわゆる一定頻度者は決められた講習を受講することが望ましい。
  • 病院内の早期除細動(目標は虚脱から3分以内)のために、AEDの病院内設置が推奨される。
  • 病院内で除細動器が日常的に使用されない部署においてはAEDの設置が特に望まれる。
  • 現場の職員がAED使用の訓練を受け、医師の責任者からその使用を許可されているべきである。
  • 病院内心肺停止発生状況の把握、AEDの配備計画、職員の訓練、その効果の検証が重要である。

新ガイドライン【ALS】の主な変更点について

   工事中

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